しずがたけしちほんやり せいこうにあんじつのだん賤ヶ嶽七本槍 清光尼庵室の段

賤ヶ嶽七本槍 清光尼庵室の段

あらすじ

柴田・真柴の戦いが続く中、鏡山の頂きにある清光尼(深雪)の庵室を政左衛門が訪ねる。両者の戦いを高みから見物すると言って遠眼鏡を据えさせる政左衛門であったが、意外にも深雪に強く還俗を求める。そこに久吉が三法師をつれて訪れ、蘭の方の首を早く渡すよう迫る。承諾した政左衛門はしばしの猶予を請い久吉を奥で待たせる。
一方、遠眼鏡でいくさの様子を見ていた腰元たちから勝久が見えると聞いた深雪は、恋情忍びがたく還俗を決意する。そこに政左衛門が現れ蘭の方は恩ある先代政左衛門の忘れ形見ゆえ殺すわけにはいかないと 述べ、身代わりになるよう説得するが、勝久に会いたい一心の深雪は拒否する。しかしやがて戦場から「勝久を討ち取った」という声が聞こえてきたので、失意とともに深雪は身代わりを受け入れ、政左衛門は深雪の首を討つ。政左衛門は、偽三法師を連れた久吉が小田家を乗っ取ろうとしているのではないかと疑うが、久吉は三法師に扮した実子の捨千代を討つ。肉親を殺し忠義を貫く久吉に政左衛門も心を許し、本物の三法師を託す。久吉は三法師を抱き馬に乗って堂々と安土に帰還する。