淡路人形座2月通常公演のご案内です

本日より2月です。淡路人形座では通常公演が、
『日高川嫉妬鱗 渡し場の段』・
『伊達娘恋緋鹿子 お七火の見櫓の段』にかわります。
上演の詳細は下記をご参照くださいませ。
●通常公演
 
 演目「日高川嫉妬鱗 渡し場の段」
  10:00~
  11:00~
  
 演目「レクチャー」・「伊達娘恋緋鹿子 お七火の見櫓の段」
  13:00~
  14:00~
  15:00~
[レクチャーとは太夫・三味線・人形の解説をする事です。]
なお2月の毎水曜日(5・12・19・26日)は水曜日特別メニューと題し
開館いたします。
詳細は下記をご参照ください。
演目「人形解説」・「戎舞」
  10:00~
  11:00~
  13:00~
  14:30~
 
「日高川嫉妬鱗渡し場の段」  解説・あらすじ
■解説
紀州道成寺の鐘にまつわる安珍・清姫の伝説は、能の『道成寺』をはじめ、様々な芸能の題材になっています。人形浄瑠璃でも、寛保二年(一七四二)
大坂豊竹座初演『道成寺現在蛇鱗』(浅田一鳥・並木宗輔合作)や、宝暦九年
(一七五九)大坂竹本座初演『日高川入相花王』(竹田小出雲・近松半二ら合
作)などの作品が生まれましたが、現在伝承されている「渡し場の段」は『道
成寺現在蛇鱗』四段目中「清姫日高川之段」を改作したものです。なか
かつて淡路の人形座では、『日高川入相花王』を通し上演する際に、渡し場
の場面だけは、この『道成寺現在蛇鱗』の改作の方を取り入れ、外題を「日
高川入相花王」あるいは「日高川嫉妬鱗」として上演していました。現在の
文楽では、「日高川入相花王渡し場の段」として上演されることが多いです
が、原作『日高川入相花王』にはこれに該当する部分がありませんので、こ
こでは淡路の伝統的な外題を採用し、『日高川嫉妬鱗』として上演します。
■あらすじ
皇位継承をめぐる争いから命を狙われる身となった桜木親王は、山伏安珍
となり、紀州真那古の庄司の家にかくまわれていましたが、恋人の姫君と再
会し、二人で庄司の家を出て、道成寺に向かいます。実は親王の身分である
とは知らずに安珍を慕っていた庄司の娘清姫は、そのあとを追いかけ、日高
川のほとりに辿り着きました。岸に一艘の船があり、清姫は船頭に川を渡し
てくれるよう頼みます。しかし渡さないよう安珍に頼まれていた船頭は冷た
く断ります。愛情は憎しみとなり、清姫は嫉妬に狂って髪をふり乱し、つい
に大蛇に姿を変えて川を渡ってゆくのでした。
「伊達娘恋緋鹿子火の見櫓の段」解説・あらすじ
■解説
菅専助・松田和吉・若竹笛躬の合作で、安永二年(一七七三)に大坂の北堀江市の
側芝居で初演された浄瑠璃作品です。天和の江戸の大火で類焼した本郷の八百屋の
娘お七は、避難先の寺にいた寺小姓と恋仲になりますが、家が再建されて別れると、
再会を望むあまり放火を企て、火刑に処せられました。お七の一途な恋心と、若い
娘の火刑という凄惨美が人々の興味を掻き立て、この事件をもとに、西鶴の『好色
五人女』を始め、多くの文芸作品が生み出されました。
浄瑠璃では『八百屋お七』(紀海音作)や、その改作『潤色江戸紫』(為永太郎兵衛
ほか合作)が生まれ、本作はこれら二作に拠りつつ、菅専助らによって執筆
されました。全八巻の構成で、主に六巻末尾の「火の見櫓の段」だけが
上演されてきました。火刑もいとわずお七が火の見櫓の半鐘を打って、市中の木戸を
開かせるという趣向は、この作から始まっています。
■あらすじ
近江国高島家の若殿左門之助が禁裏へ献上する天国の剣を紛失したため、お守役の
安森源次兵衛は切腹しました。江戸吉祥院の寺小姓となって剣を探す安森の一子
吉三郎は、火事で焼け出されたお七と恋仲となっていましたが、お七は父が店の
再建のためにお金を借りた万屋武兵衛を婿に迎えなければなりませんでした。
剣詮議の期限の日、お七は剣を盗んだのが武兵衛と知ります。しかし火事の後は
九つの鐘(午前0時)を合図に江戸の町々の木戸が締まり、通行が禁じられています。
たとえ剣が手に入っても今夜中に届けることができなければ、吉三郎は切腹する
ことになります。思いつめたお七は、火の見櫓の半鐘を打てば出火と思って木戸は
開かれるのではと考えました。火刑を覚悟で、雪の凍りついた梯子を滑り落ちながらも、櫓に上ったお七は撞木を夢中で振るのでした。
「戎舞」  解説・あらすじ
■解説
戎さまは今では商売の神様にもなっていますが、もともとは海の神様でした。
淡路島では昔から漁村のお祭りで浜芝居が行われ、間狂言として大漁や航海の
安全を祈って必ず舞われていたのが「戎舞」でした。自分の狙う魚の大漁を
祈って欲しいと次から次に魚の名前を叫ぶ漁師さんに応え、太夫はその漁村で
捕れる魚の名前をずっと語り続けたそうです。人形が神事として遣われた古い
形を残した出し物で、太棹三味線の伴奏ではなく、太鼓で語ります。
■あらすじ
戎さまが釣竿をかついで淡路人形座へやってきました。庄屋さんはお神酒を
出します。さかずきを飲み干した戎さまは、自分の生まれや福の神であること
を話しながら舞い始めます。海の幸、山の幸を前にみんなの願いをかなえようと
お神酒を飲み、幸せを運んできます。酔った戎さまは、船の乗り、沖に出て、
大きな鯛を釣り、メデタシ、メデタシと舞い納めるのでした。太鼓のリズムに
合わせ、戎さまが楽しく舞うこの神事には、おおらかな心を持ち、えびす顔で
プラス思考に生きるという幸せの原点が込められています。
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