淡路人形座7月通常公演のご案内です
淡路人形座7月通常公演のご案内です。
明日から7月です。
通常公演が『傾城阿波の鳴門 順礼歌の段』・『本朝廿四孝 狐火の段』
『日高川嫉妬鱗 渡し場の段』に変わります。
上演の詳細は下記をご参照くださいませ。
1日から20日まで
●通常公演
演目「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」
10:00~
11:00~
13:00~
14:00~
15:00~
21日
●淡路人形浄瑠璃後継者発表会 ☆特別出演
演目「生写朝顔日記 深雪関助道行の段」
22日から31日まで
●通常公演
演目「本朝廿四孝 狐火の段」
10:00~
11:00~
●通常公演
演目「日高川嫉妬鱗 渡し場の段」
13:00~
14:00~
15:00~
なお21日は淡路人形浄瑠璃後継者団体発表会の為、通常公演は上演しておりません。
詳細は下記のチラシの行程表をご参照くださいませ。
鑑賞料:大人1,500円、中高生1,300円、小学生1,000円、幼児300円
休館日:毎週水曜定休日
☆なお24日(水)より毎水曜日を一周年特別期間と題し午前のみ
開館させていただきます。
上演時間 10:00~ 11:00~
演目 「レクチャー」・「戎舞」
水曜日特別鑑賞料:大人1,000円、中高生800円、小学生600円、幼児200円
「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」 解説・あらすじ
■解説
「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します…」という順礼の娘おつるのセリフがよく知られている『傾城阿波の鳴門』は、近松門左衛門の『夕霧阿波鳴渡』を改作した近松半ニらの合作で、傾城夕霧とその恋人藤屋伊左衛門の話に、阿波の藩主蜂須賀家(玉木家)のお家騒動をからませた十段続きの時代物です。明和五年(一七六八)竹本座で初演されました。現在では八段目の「十郎兵衛住家(順礼歌の段)」だけが上演されます。盗賊の一味となっているために親と名乗れず、我が子を追い返す場面が最も有名で、涙を誘います。
■あらすじ
十郎兵衛・お弓の夫婦は、徳島の玉木家の家宝国次の刀を探すため、大阪の玉造に住み、十郎兵衛は名前も銀十郎と変え盗賊の仲間に入っていました。お弓が留守番をしているところに手紙が届きました。十郎兵衛らの悪事が露見し、追っ手がかかったので、早く立ち退くようにとの知らせでした。お弓は夫の無事と刀の発見を祈って神仏に願をかけているところに、順礼の娘が訪れます。国許に残してきた自分の娘と同じ年頃なので、話を聞いてみると両親を探して徳島からはるばる旅をしてきたという身の上を語ります。両親の名前を聞いてみると間違いなく自分の娘であることがわかりました。今すぐに抱きしめ母と名乗りたい思いを抑え、盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れて、国へ帰るように諭します。そしてこのままここにおいて欲しいと頼むおつるを、お弓は泣く泣く追い返します。おつるの歌う順礼歌が遠のくと、お弓はこらえきれずに泣き崩れるのでした。しかし、このまま別れてはもう会えないと思い直し、急いでおつるの後を追います。
「本朝廿四孝 狐火の段」 解説・あらすじ
■解説
川中島の戦いで有名な、上杉謙信と武田信玄の確執を扱った作品で、明和
三年(一七六六)に大坂竹本座で初演されました。近松半二らによる合作で、
今日も頻繁に上演される人気狂言です。近松門左衛門の『信州川中島合戦』
等先行作品の影響を受けていますが、新たに斉藤道三による足利将軍暗殺な
どを絡ませ、全五段を巧みに構成しています。『本朝廿四孝』という外題は、
中国の故事「廿四孝」の日本版という意味で、三段目にその故事が取り入れ
られています。
奥庭狐火の段は、四段目の切場「十種香」(謙信館)の後半ですが、現在で
は独立させることが多くなっています。三味線一棹だけの演奏ではなく、琴
や連れ弾きの三味線の伴奏も入り、また人形も、人形遣いの衣装が早替りす
るという演出があり、人形芝居独特の魅力溢れる華やかな舞台となっていま
す。
■あらすじ
越後の武将上杉謙信の娘八重垣姫と、甲斐の武将武田信玄の息子勝頼は、
足利将軍の仲介で婚約していました。ところが将軍が暗殺され、両家に疑い
がかかり、犯人を見つけ出せなかったために、勝頼は切腹を命じられてしま
います。悲しみに暮れる八重垣姫でしたが、死んだのは偽者で、本物の勝頼
は花作りに身をやつして生きていたことを知ります。しかし父謙信も、その
秘密を知り、勝頼に刺客を差し向けるのでした。
(今回の上演は、以下謙信館奥庭の場面)八重垣姫はそのことを勝頼に知ら
せようとしますが、女の足では刺客に追いつけず、諏訪湖は凍っているため
船を出すこともできません。そこで奥御殿にまつった諏訪明神の力が宿る兜
にお祈りすると、不思議な事に狐が現れます。八重垣姫は兜を手にして、こ
こかしこに燃え立つ狐火を力に、勝頼のもとへと急ぐのでした。
「日高川嫉妬鱗渡し場の段」 解説・あらすじ
■解説
紀州道成寺の鐘にまつわる安珍・清姫の伝説は、能の『道成寺』をはじめ、様々な芸能の題材になっています。人形浄瑠璃でも、寛保二年(一七四二)
大坂豊竹座初演『道成寺現在蛇鱗』(浅田一鳥・並木宗輔合作)や、宝暦九年
(一七五九)大坂竹本座初演『日高川入相花王』(竹田小出雲・近松半二ら合
作)などの作品が生まれましたが、現在伝承されている「渡し場の段」は『道
成寺現在蛇鱗』四段目中「清姫日高川之段」を改作したものです。なか
かつて淡路の人形座では、『日高川入相花王』を通し上演する際に、渡し場
の場面だけは、この『道成寺現在蛇鱗』の改作の方を取り入れ、外題を「日
高川入相花王」あるいは「日高川嫉妬鱗」として上演していました。現在の
文楽では、「日高川入相花王渡し場の段」として上演されることが多いです
が、原作『日高川入相花王』にはこれに該当する部分がありませんので、こ
こでは淡路の伝統的な外題を採用し、『日高川嫉妬鱗』として上演します。
■あらすじ
皇位継承をめぐる争いから命を狙われる身となった桜木親王は、山伏安珍
となり、紀州真那古の庄司の家にかくまわれていましたが、恋人の姫君と再
会し、二人で庄司の家を出て、道成寺に向かいます。実は親王の身分である
とは知らずに安珍を慕っていた庄司の娘清姫は、そのあとを追いかけ、日高
川のほとりに辿り着きました。岸に一艘の船があり、清姫は船頭に川を渡し
てくれるよう頼みます。しかし渡さないよう安珍に頼まれていた船頭は冷た
く断ります。愛情は憎しみとなり、清姫は嫉妬に狂って髪をふり乱し、つい
に大蛇に姿を変えて川を渡ってゆくのでした。