淡路人形座10月通常公演のご案内です
本日より淡路人形座では通常公演が、
『玉藻前曦袂 神泉苑の段』にかわります。
今月は特別公演、バックステージなども
ございます。
上演等の詳細は下記に掲載している
チラシをご参照くださいませ。
皆様のお越しをお待ちしております。
●通常公演
演目「玉藻前曦袂 神泉苑の段」
10:00~
11:00~
13:00~
14:00~
15:00~
なお10月の毎水曜日(1、8、15、22、29日)は定休日で
休館いたします。
「玉藻前曦袂 神泉苑の段」 解説・あらすじ
■解説
現在伝承されている『玉藻前曦袂』は、文化三年(一八〇六)大坂御霊境内
芝居初演の『増補玉藻前曦袂』で、寛延四年(一七五一)大坂豊竹座初演
『那須野猟師絵本那須野狩人玉藻前曦袂』を書きかえた五段続きの時代物
です。読本『絵本三国妖婦伝』(文化元年刊)をもとに、全段日本を舞台と
する原作の構成を改め、初段を天竺、二段目を唐土、三段目以降を日本の
こととして物語を展開しています。金毛九尾の妖狐が三国を股にかけて国家
転覆を企み、天竺では班足王の后花陽夫人、唐土では殷の紂王の后妲己、
日本では鳥羽院寵愛の玉藻前に変化して王や帝に近づきますが、最終的に
失敗して那須野が原の殺生石(妖狐が殺されてこの石になったという伝説が
ある)になるというのが全体の筋です。
人形のケレンの見せ場が多く、人形遣い主体の淡路の人形座が得意にした
演目で、昭和四十五年国立劇場の民俗芸能公演「淡路人形芝居」でも通し
上演されています。大阪でも近代にかけて頻繁に上演された演目ですが、
昭和九年浪花座を最後に通し上演が途絶えてしまい、昭和四十九年国立劇場
文楽公演で通し上演された際には、「神泉苑」「景事化粧殺生石」が淡路の
伝承をもとに復活されています。
「神泉苑の段」は四段目口で、原作には狐が玉藻前を殺して化ける場面が
ありませんが、この淡路版では増補してあるところに特徴があります。
「面狐」と呼ばれる独特のかしらを用い、狐から玉藻前、玉藻前から狐への
変化を見せる点なども見どころです。
■あらすじ
初花姫(故右大臣道春の娘)は、その詠歌が鳥羽院の御心に叶い、玉藻前と
名を改めて入内していました。神泉苑(大内裏の南にあった天皇の庭園)で、
玉藻前が亡き姉を思い出し悲嘆にくれていると、激しい風とともに妖狐が
現れ、玉藻前を喰い殺して池に沈め、自ら玉藻前に化けます。
そこに薄雲皇子(鳥羽院の兄宮)が現れ、玉藻前を口説き、謀反の志を
述べるので、玉藻前は妖狐の本性をあらわし、日本を魔界とするため皇子に
協力すると言います。皇子が去ったところへ陰陽頭安部泰成が現れ、玉藻前に
神鏡をかざすと、妖狐は苦しみながら那須野が原に飛び去るのでした